2024年度卒研テーマ案
2024年3月に研究室配属予定の学部生(2021年入学生)向けの情報提供ページです. 翌年以降も同じようなテイストの研究テーマを提示する予定ですので, 2022年以降入学生にも参考にしてもらえると思います (うちの研究室の配属予定人数は2名から3名です). このページに書かれているのはあくまでも実現可能性の高い案の一つであって, もっと他の課題に取り組んでみたいという人がいれば,相談の上,テーマをカスタマイズすることも可能です (ただし,例えば動物実験を伴うものや人文科学系のテーマなどは私には指導できません). 3/8のテーマ説明会で使うパワポファイルは,説明会終了後から配属先希望調査の締め切りまでの間, このページから閲覧できるようにしておきます.
A. スマートコントラクトを使ったパブコメ収集システム
ブロックチェーンの仮想マシン上で実行されるスマートコントラクトと呼ばれるプログラムを使って 政策提言(パブリックコメント)などを収集し,オンライン上で議論を深めていけるシステムを構築したいと 考えています.よくある既存システムでは自治体などの運営側があらかじめ争点を設定し, 住民はその項目の可否に関する見解を述べるだけというものが多いのですが,どうせ作るのであれば, 住民自身が新しい争点を設定したり他の住民の意見に対する評価やコメントをしたりできるものに したいと考えています(評価の高い提言に対してはNFTトークンを発行し,自治体が開催するオフラインイベントに優先的に参加する 権利を与えるなどしても面白い.ブロックチェーンの利用を考えた理由は,運営側によるコメントの恣意的な取り扱いを 防ぐためです.政策提言では運営側も利害関係者ですから).プログラミング言語には,JavaScriptによく似たSolidityという言語を使う予定です.
B. Blueskyを用いた非集中型インスタグラムの作成
皆さんはBlueskyという分散型SNSを知っていますか?リリースされた当初は招待者のみ利用可能でしたが, 今年の2月4日からは招待制が廃止され,それもあってか最近目にする機会が一気に増えています. このテーマでは,Blueskyで使われているオープンソースの技術を使って 非集中型のインスタグラム(のようなもの)を作ってみたいと考えています.BlueskyはXの代替アプリなのですが, 分散システムという観点からは興味深い技術がいくつも使われています. Blueskyで使われている技術のなかで個人的に興味を持っているのが,複数サーバの連携に使われる ATプロトコルとタイムラインの表示アルゴリズムを自由に設計できるカスタムフィードと呼ばれる仕組みです. 卒業研究では,上で提示している「インスタグラムの非集中化」以外にも,デマや誹謗中傷の拡散を抑制するような 機能を組み込む方法についても一緒に考えていきたいです.プログラミング言語にはTypeScriptを使う予定です.
C.MuZeroを使った探索エージェントの研究
囲碁やチェスなどのボードゲームをプレイする人工知能(AI)の研究は,この10年で飛躍的に進歩しています. 2016年にはDeepMind社が開発したAlphaGoという囲碁AIが当時世界最強とされた囲碁棋士を破って 世界に衝撃をもたらしたのですが,ほんの4年前には,ゲームの進め方などの基本的ルールすら知らない完全な 無の状態から学習を行うMuZeroという史上最強のAIが登場しました(Muは日本語の無やギリシャ文字の μとかけているらしいです).このテーマではMeZeroの学習能力を活かしたシステムの設計と試作を行います. 具体例としては,現在では教育用に開発されたMuZeroのPython実装もいくつかあるので, それらを利用して様々なゲームや状況にMuZeroを適用し,「ゲームの学習を手助けするエージェント」を 構築してみたいと考えています.単にプログラム自身がゲームに強くなるだけでなく,ゲームの学習者(人間)への 指導方法にも習熟させられるのではないかと考えています.プログラミング言語はPythonが使えれば 多分大丈夫です.このテーマをなぜうちの研究室で取り組みかというと,ここで考えようとしている対象が,AIエージェントと 複数の学習者から構成される分散システムだからです(この研究ではMuZeroは道具です).
過去の説明文
参考のため,過去の説明文も残していきます.
2023年度用の説明文はこちら
2022年度用の説明文はこちら
2021年度用の説明文はこちら
2020年度用の説明文はこちら
2019年度用の説明文は
こちらです.